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西穂・雪上キャンプ三日目

稜線をなめるな。

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  • 登山

あまり連続して眠れず。雪のことも気になっていたし。5時ぐらいに隣のテントからごそごそやる音が聞こえてきた。まだ寝てようかどうしようか…。この時間になると体が熱を起こせなくなって寒さを感じるような状態になってきた。6時ぐらいになって段々と明るくなってくる…。外を見ると意外なことに天気が良かった。ガスがないというわけではないが雪は止んでいた。これはあんまり寝ているのもなと思い起きることにする。

また雪を溶かし…。朝御飯はショートパスタ。今日はどうしようかなあと考えながら朝御飯をすませる。三日目ともなるとこの生活にも慣れてくる。ちょっとだけ下山するのが惜しい。

外は若干の粉雪。青空も見えている。撤収作業開始。荷物をザックにつめていく。いろいろと結露して凍結してしまっているのがひどい。ザックの中でもとりあえずは溶けないから水浸しにすぐなるわけではないが…。一通り詰めてからテントの撤去を開始する。しかし完全に凍結してしまってちっとも畳めない。袋に入らない。なんとか別の袋を用意して押し込む。ひどいもんだ。

撤収作業はそれほど時間も取られずに終了。テント札を返却してどうしようか考える。ここまで来たら西穂独標まで行くかどうか迷って、行けるところまで行ってみるかと決意。

小屋の前はほぼ無風。ちょっと安心していた。さて、丸山への道を登り始める。最初は雪だらけの道。急な勾配があって、下山する人がシリセードで下りてくる。登るときには…キックステップで蹴り込まないと登れない。それでもぼろぼろと崩れていくので大変だ。この調子でずっと続くのなら無理だなあ…。と下がしっかりと踏み固められた雪になる。稜線…ということかな。ちょっと踏み外すと崩れるが。アイゼンがしっかり効くようになりこれなら大丈夫かと思ってちょっと登ると…突然台風のような風に襲われた。風上に正対して立つと真っ直ぐに立っていられないぐらい。これも一時的なもの…と思っていたがそうではなかった。稜線ではずっとこの強風が吹いていた。

問題になったのはいくつがあるが…。まず服装。とてもアウターなしではいられない。岩陰にかくれてザックを下ろしてアウターを取り出して着る。着るのも一苦労。基本的には手袋の上からの作業になる。面倒な事故発生。腰のベルトのバックルからベルトが抜ける。とてもじゃないがこれはグローブで作業して挿し直すなんてことができず素手で作業した。30秒程の作業だったが…手が真っ赤に腫れ上がる。アイガー北壁で手袋を落とした人はこんな状態だったのか…と思った。眼鏡もつらい。フェイスマスクの口の部分を外せば曇らないがそれでは唇が凍りつきそうになる。すると眼鏡が曇る。曇るだけならしばらくすれば直るが結露がすぐさま凍る。視界が何がなんだかわからない状態。時々眼鏡を外してグローブで拭ったりもするがとてもじゃないがそんなものでは改善されない。赤テープを発見するのに苦労する。カメラでの撮影も一苦労。マイナス20度近くまで下がった温度計の写真を取りたかったがとてもじゃないができそうにない。

この状況はいかんともし難いなと思いつつしばらく行くと丸山に到着。わかりやすいく道標が立っていていいね。さて、どうするかな…。独標まで行けるかどうか。ちょっと進んでみる。やがて長い登りが見えた。広い稜線だから危なくはないのだろうがガスで先が見えない。初体験の厳しい状況を考えると何かあったときには死ぬなと思った。そこで撤退を決意。戻ることにした。笠ヶ岳かな、雲の合間に少し見えた。赤テープを確認しながら戻る。やがて小屋が見えて…稜線から下りる…と不思議なくらいに風が止む。ほんの数mの差でなぜここまでの違いが出るのだろう。他の登山者の真似をしてシリセードで下る。ちょっとだけ命からがらという感じで小屋前まで戻る。

荷物の整理を再度したあとに下山を開始。二日分の雪が溜まった道は若干歩きにくい。だが下り基調なのであまり問題はない。日差しがまぶしく無風なので勘違いしてしまいそうになったが気温はマイナス15度は優にある。グローブの中で指が痛い。あかぎれになった部分とか深爪をしたかのような痛みがあったり。寒さが与える体へのダメージが段々とでてきたのだろうか。1時間あまり歩くと観光用の小径に戻る。散歩しているカップルのさむーいという声に苛立ちを感じながらも駅の入口まで戻る。アイゼンを外し、ストックを畳み…再度荷物を詰め直し…今回の山行は終了した。

今回は始めての冬山(生活)体験となった。登ったのは丸山だけなので登山をしたというところまでは行っていない。とはいえ冬の山で起こるさまざま、どちらかというと面倒な、体験をし、いくつかの失敗をした。稜線はつらかったが、テント生活自体はそれほどつらくはなく、次に行くときには今回よりも改善することを目標として行ってみたいと思う。今回はかなりの問題点があったから。