鈴鹿山脈冬季縦走1日目
8:45 大貝戸登山口 → 11:30 藤原山荘 →15:00 治田峠 → 16:00 テント
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きっかけはなんだったか…なんてどうでもいい話であって、今回は冬山の単独縦走にでかける。さすがに北アルプスだと死んじゃうので近場の鈴鹿山脈へ。アクセスを考えるとコースは藤原岳から御在所までと決定。事前にガイドマップを調べ、夏なら一泊二日だろうと推測。しかし、冬場の縦走のペースはわかってない。当初の計画は2泊。だが余裕を見て4泊分を用意。
朝一番で到着できるように電車で出発。西藤原駅に8時前に到着。天気は快晴。大貝戸の登山口まで移動。登山口の小屋では先週の行方不明者の捜索活動でごったがえしていた。普通の登山者も含めて駐車場は満杯に近い。いくつかの準備をすませて8時半過ぎに出発。
登山口では捜索関係者らしき人が前にいた大学生らしい数人のグループに行方不明者の情報提供のお願いをしていた。自分には声をかけてくれなかったが。
登山道は雪もなく快調に登っていく。四合目あたりで少し雪があったがまた消える。六合目あたりから雪がしっかりと積もりだす。しばらくはアイゼンをつけずに頑張っていたがだんだんつらくなってきたのでアイゼンを装備。またサクサクと登っていく。一般の登山客より若干速いペースか。
一緒に登っていく人に声をかけられる。さすがに藤原岳を登っているだけでは考えられないような大荷物を背負っているせいかテント泊ですかと声をかけられる。御在所まで行きますと答えるとさすがに驚いたような返事が返ってくる。
このあたりは夏道に沿って登るようだが、直登の踏み跡もあるようだ。七合目あたりからは広い尾根になるため好き勝手踏み跡がついている。八合目で小休止。しばらくの登りが続いたあと藤原山荘に到着。11:30か。標準タイムより若干遅い。
藤原山荘周辺は登山客でごったがえしていた。人気のある山だな。ほとんどの人にとってはここでゴールで昼御飯を食べたり、周辺を散策したり、で終わるのだろうが、自分にとっては稜線に出てやっと出発点に立っただけである。
だだ広い雪原を歩いて頂上に向かう。藤原岳の山頂を示す道標。若干天気が悪くなり視界が悪いが、これから先を行く稜線が見える。踏み跡が明らかに減った南側へ、御在所へ向けて踏み出す。
上から見ると白い道が見えている。登山道なのかな。これは楽勝と最初は思う。しかし、下に降りてみるとあれは雪庇であった。完全に張り出すまで発達しているところはほとんどないが、それでもそんな上を歩くほどの勇気はない。歩いたとしても雪がすぽっと抜けてしまうところがあるため歩きやすいとも言えない。
さて、冬の大変さだが…。登りはもちろん大変である。体力を使う。登山道がどう切ってあろうが傾斜がきつかろうがひたすら直登。ピッケルを突き刺し1・2・3と登り続けるしかない。雪の状態も変わる。沈みこめばラッセル、凍りついた斜面はアイゼンを頼りに時折キックステップを混ぜながら滑らないように注意。そんな調子で素直に登れるわけじゃない。
下りは体力的には楽だが、頭が疲れる。わかりやすい稜線を下るだけならいいが、妙にひろがった場所に出たとき、次はどこから降りるのか。地図と風景を照合しながら考える。すぐに見つかる降りられそうなところは正解なのか…。向こうにピークは見えるが、間を繋ぐ稜線は木で見えない。どこで降りるのが正解か…。登山道はあてにならない。夏に歩きやすい道が雪が積れば他と変わらない藪漕ぎとなる。夏にはぶつからない枝が1mの積雪で目の前に来る。赤テープなども冬に欲しいところにないことも多い。足跡があろうが関係がない。自分で確信が持てるまでは降りれない。間違って谷に降りてしまったら…登り返しか雪崩の危険か…。下りだから早く進めるわけではなかった。
まず下って鞍部から965mピークを目指す。多志田山と看板があったが。地図を見ると直登する夏道はないのが当然真っ直ぐ登ってきた。このあたりは現在地を示す看板が200m置きぐらいに立っていた。どこまで進んだのか参考になるが、進んでないことがわかる。ここは何番ですと書き込むところが消えているのはどういう話だろうかと思ったが。
人影が動いているのが見えた。すぐそこに見えたが会えるわけではない。結局向こうは引き返したようだが、どこに登るつもりだったんだろうか?おそらく治田峠から登ってきたんだろう。
概ね下り基調の道を下っていく。すでに述べたようにただしく降りていけるように何度も地図を確認しながら。やがて治田峠へ到着。茨川への分岐か。このあたりはちょっと雪が少ない。この時点で15時過ぎ。16時には幕営の準備を考えていたのでもうちょっとだけだなと地図を見る。少し登ったところで少し傾斜が緩やかなところがあるようなのでそこを目指して登る。
地図で判断した通り、ちょっと広い場所があった。テントの設営の準備をする。スコップを出して、雪をかいて、踏み固めて…。手順は把握しているな。そんなに寒いわけではないがテントの中に入れば一安心の感。雪を解かして晩飯を作って。
地図をチェック。どこまで進んだか…。現在地が地図のずっと上であることに気付き愕然とする。最初の目標の石榑峠なんて冗談ではない。標準時間の倍はかかっている。計算すると3泊か4泊で行けるのかという計算になる。4泊になると装備に余裕がないことになる。さすがにそれはできない。どう判断するのか。エスケープはわかりやすければいいがどうなのか。竜ヶ岳まで行って引き返すのがいいか。結論は出ない。